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映画【教誨師】を鑑賞した方のレビューをチェック♪

出演されている方々は本当に実力のある役者さんばかりですが、この映画は、そんな皆さんの渾身の演技が詰まった作品だと私は思っています。

非常に非常にデリケートな題材ですから、力のある役者さんたちでなければ、きっとこんなに素晴らしい作品を作り上げることはできなかったでしょう。

中でも玉置玲央さんの演技はあまりに凄すぎました。
メッセージ性の高いこの作品は、「プロデューサー大杉漣」がくっきりと残した大きな爪痕だと思います。

幾人もの死刑囚がどんな日常を送り、どんなことを考えているかが、教誨師とのやりとりからわかる映画です。

実際の死刑囚をモデルにしたのかなと思われる人もいて、想像をふくらませる楽しみもあります。
死刑になるのは、少なくとも2人は殺しているはすなのに、どこにでもいそうな、身勝手なおにいさん、おじさん、おばさんのように描かれ、犯した大罪を悔いるどころか、当たり前のように不平を募らす様子に、不気味な恐ろしさを覚えました。

淡々と話が進み、解釈を押し付ける演出がないので、人によって解釈が分かれ、下手に人と感想を共有したくないなと思います。

名俳優の大杉漣さんの遺作となった作品。
彼を筆頭に実力派の俳優が多く出演しているのも見ごたえがありました。

初めは教誨師としてキリストの教えに沿ったカウンセリングを徹底する主人公が、終盤にいくにつれて自分自身の過去の経験を振り返ったり、徐々に人間らしさがかいま見えてなんだかホッとしました。

主人公と話をする若者死刑囚の一人が、罪について語る部分はどこか共感するところもあって、最後に実刑を受ける直前にはどうにか救われてほしいと入り込んでしまいました。
凶悪であるはずの死刑囚が教誨師によって人間らしく映る、魅力的な映画でした。

教誨師という存在を知らなかったので、単純に興味だけで映画館へ行きました。
もちろん力のある役者さんばかりが起用されているし、大杉漣さんプロデュースということにも興味はありましたが。

でもまさか、これが蓮さん最後の主演作になってしまったとは…。
たぶん題材が題材だけに、すごく丹念な取材と細心の配慮を重ねて作られたと思いますが、地味で抑えた演技ばかりが、かえって死刑を待つ人間のリアリティを浮き立たせているようで、私の中のすべての感情が止まってしまうほど強いショックを受けた作品でした。

受刑者たちに向き合いながら自分の人生を振り返ってしまう蓮さん。最後の彼の眼差しは、たぶん一生忘れないと思います。