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「嫌われ松子の一生」でどんどん不幸になっていく女性を演じた中谷美紀が、松子とはベクトルが違う不幸な女性：幸江を演じていて、これはこれでとても良い仕上がり。
元ヤクザで乱暴者のイサオとのバランスが絶妙だった。

なぜ幸江は首にスカーフを巻いているんだろう？と不思議に思って観ていたが、ちゃんと理由があって、もの凄く納得して泣けた。

前半のギャグ漫画というかコントっぽい作りと後半のたたみかけのギャップも素晴らしい。

前半のコミカルなところはおもしろかったです。
でも、これはフィクションなので、だからおもしろいのであって、本当にあんな男がいたらいやだし、女は騙されてるなと思います。

やっぱり、阿部寛さんが魅力的なので、見ていておもしろいですね。
また、中谷美紀さんはまたしても、不幸な役で、それがまたよく似合います。

ただ、後半になるにつれて、妙にシリアスになってしまって、見たい感じとは違いました、もう全編、ドタバタコメディで押していったほうがよかったかなと思います。

絵に描いたような不幸のどん底で生きる2人のどうしょうもない暮らしぶりをユーモアたっぷりに描いていて、物凄い人生訓に触れたように感じさせられてしまう。

阿部寛が演じる元ヤクザのヒモ、イサオが気に入らない度にちゃぶ台返しをするのがお決まりで、見事なまでにみそ汁から何から畳にこぼれるので、部屋の衛生状態はかなりのものだろうと想像してしまう（映画は臭いがしないから良いよね）。

中谷美紀演じる内縁の妻、幸江が少し綺麗すぎるきらいはあるが、抜群の演技力で幸薄女になりきりっており、これでもかという不幸の乱れうちに翻弄される様を、笑いの域にまで高めているのが凄い。