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内館牧子の同名小説を、『リング』『スマホを落としただけなのに』の中田秀夫監督により実写映画化。

第2の人生に向かう主人公に舘ひろし、丞威、黒木瞳、広末涼子らが脇をかため、定年後のこれから、夫婦関係、家族の在り方を、ユーモラスに演じています。

映画【終わった人】を鑑賞した方のレビューをチェック♪

サラリーマンが定年を迎えた後の生活は、毎日が日曜日ということ。
男は暇をもてあまし孤独感にさいなまれる。
一方の妻は、女性らしく友達と語らい、仕事も細々だがある。

このような現実的な話が展開されていくのは好みに合っていて見ていて飽きません。
男には、特にこの田代のような学歴があり、現役時代にはある程度のキャリアを積んできた者は、尾ひれが取れないという表現がされるが、プライドが邪魔をすることがよくあります。

現役の時はみんながペコペコしてくれたのに、リタイアしたとたん、誰も持ち上げてはくれなくなり、普通に接してくれているのに不満だということがあります。
こんなところを、あるある、と見ていました。

かつては将来を有望視された銀行員だったが、結局出向先の会社で寂しく定年を迎え、第二の人生で悪戦苦闘する主人公を舘ひろしが好演しているのですが、もっと脚本を練る余地があったのではないかと思われます。

すごく気になったのは、カルチャースクールで働きながら童話を書いている女性（広末涼子）との関係。
主人公はその若い女性とデートができてうれしいのだけれど、「童話作家はあきらめた方がいい」といったことを言ってしまう。

他に収入があって空き時間に夢を追いかけているわけだから、そんなアドバイスは大きなお世話で、一発で嫌われそうなものだと思うけれど…。
なんだか、偉そうな中年男に優しい映画でした。

壮介が華々しい第二の人生に踏み出すのかと思いきや、やっぱり危なっかしくて。

会社はもちろん、久里とのこともどうなるのかとひやひやしました。
浮き立つ壮介はどこかかわいらしかったですけど。

結局、思い通りにいかなくても悲壮感がなく前向きで、ちょっと痛みもあるけど可笑しみを醸し出していました。

最後は千草が助けるのかなと思いましたが、意外な展開。
千草はしっかりと現実を見つめて、夢に向かって地道に努力する素敵な人ですね。

状況が仕方ないだけに、壮介に一見冷たいのも納得でしたが、本当は愛情深い女性で驚きです。
これから、新たな夫婦の形が楽しくなりそうなラストでした。